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愛の嵐

Il Portiere di notte    1973年
リリアーナ・カヴァーニ


重く深刻な映画の二連発。
「質屋」と同じく、ユダヤ人強制収容所を扱った問題作です。



第二次大戦から十年以上経過したウィーン。

ホテルのフロント係として働くマクシミリアンは、かつてナチス親衛隊SSの将校だったが、今は素性を隠してひっそりと生活していた。

ある日、彼の働くホテルにアメリカから著名な指揮者とその妻が客としてやってくる。

指揮者の妻と目が合った瞬間、マクシミリアンは動揺する。

それは彼女も同じだった。

指揮者の妻であるルチアは、マクシミリアンがかつて強制収容所で嬲りものにしたユダヤ人の娘だったのだ。

ルチアはマクシミリアンの言いなりになっていた当時のことを思い出す。

夫がウィーンを離れた後も故郷であるウィーンに残ったルチア。

そんな彼女の部屋にマクシミリアンがやってくる。

彼はルチアを殴り「なぜ今さら俺の前に現れたんだ」と激しく詰め寄るが、次の瞬間、二人は抱き合っていた。

そして二人は、かつてと同じように肉欲に溺れていく。

しかしナチスの残党狩りを恐れ、今は素性を隠して生活する元ナチス親衛隊のメンバーたちはルチアの存在を危険だと判断する。

彼女が密告すれば、マクシミリアンは処刑され、自分たちにも危害が及ぶかもしれない。

彼らはナチス解党後も横のつながりを持ち続け、情報を共有しながら生き長らえていた。

そして自分たちの身を守るためなら手段を選ばない。

身の危険を感じながらも、マクシミリアンのアパートに行くルチア。

そして二人は獣のように貪りあう。

しかし、そんな二人に未来はなく、非情の結末が訪れるのだった…

ナチスといえばドイツのイメージですが、実際に国民全体からするナチス党員の比率はオーストリアの方が多かったそうで、元SS中佐でユダヤ人大量虐殺を指揮したアドルフ・アイヒマンもオーストリアで育ったそう。

この映画は戦後のオーストリアの暗部を描いた作品ですが、主人公二人の異常な愛、歪んだ愛を描いた作品でもあります。

この二人の関係は「愛」とは言えないかもしれません。
体の結びつきだけで心が伴っているようには到底見えないからです。

サディスティックなマクシミリアンと、かつては服従関係を受け入れるしかなかったルチア。

が、今となってはルチアは自分の意思でマクシミリアンを選んでいます。

そして戦中戦後で二人の力関係が完全に逆転してしまい、現在はルチアが主導権を握っているのに、マクシミリアンから離れられない。

シャーロット・ランプリングが理屈でなく、本能のままに生きる女をクールに演じています。

ダーク・ボガードはこういった闇を背負った影のある役がよく似合う俳優ですね。

収容所時代、痩せ細った体のルチアが上半身裸で歌い踊らされるシーンは、強烈に心に残るシーンです。

ヴィスコンティ監督が絶賛したという退廃的な空気に満ちた映画ですが、女性監督がこういった映画を作るのは珍しいですよね。

お互いを貪りあうだけの獣のような愛。

この二人は心ではなく体で結びついているので、どんなに激しく求め合ったとしても、どっちみち長く続く関係ではないでしょう。

そして求め合った先には破滅しかない。
わかっていても、二人は奈落の底に落ちていく道を選ぶ。

重苦しい映画ですが、心に深い余韻を残します。
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Author:1018
なかなか映画の話が合う人がいないので、
ここに、好き勝手いろいろ書いていこうと思います。
いいと思った映画しか載せないので、
ここに書いているのは、全部お薦めです!
たまに映画から脱線していますが、気になった映画は是非見てください(^▽^)

※あくまで個人的に映画の感想を書いて楽しんでおりますので、匿名での中傷的なコメントはご遠慮下さい。

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